あるノマドサーファーの思索

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アンチナタリズム/アンチナタリストからの克服

約 6 分

ノマドとして生活し、世界2周、40ケ国以上まわり、世界中で波乗りしてきたサーファーが考えているあれこれ

アンチナタリズム/アンチナタリストからの克服

最初の投稿はここのところ話題になっていて、かつ、現在哲学界での議論としても盛り上がってきていて、自分としても長年一つ大きな問題としてあったのがアンチナタリズム(反出生主義)だ。

私自身もアンチナタリストであったのだが、最近みた映画「ライフ・イットセルフ 未来に続く物語」を見て、少し考え方が変わりつつある。

本記事では、アンチナタリズムとは何か、その理論と克服方法まで考えていければと思う。

アンチナタリズム(反出生主義)について

そもそもアンチナタリズムとはなんでしょうか?

日本語では反出生主義といい、簡単に言えば、「できるだけ産まない方がよく、生まれてこない方がいい」という思想、考え方である。

「生まれてこない方がいい」というと直感に反するような気がするかもしれない。

しかし、この世の苦しみが生まれて来るのは生まれて来るからであるし、その苦しみは人間が産んでしまうからこそ生じるもので、であるならば産んだり/生まれて来るなどということはそもそもない方がいいという理論になる。

詳しくは、英語であるが、この思想の提唱者とも言える以下のDavid Benatarの著書「Better Never to Have Been: The Harm Of Coming Into Existence」で説明されている。

もしあなたが自分の人生を楽しんでおり、生まれてきたことに感謝しており、心から満足しているとすれば、到底考えつかないような思想かもしれない。

もともと恵まれた人、ポジティブな人は真正面から「そんなことはない」と言えるのだが、人間皆がそうではなく、特にうつ病や自殺が大きな問題となっている日本では「生まれてこなければよかった」と思っている人は意外に少なくはないだろう。

特に最近では、全世界的なコロナのパンデミックの真っ最中であり、そのように暗い考えになってしまう人が多いように思う。

かくゆう私もつい最近までアンチナタリスト的な考えをしていた。

仏教とアンチナタリズム

ところで、アンチナタリズム自体はその字面から見て取れるように、西洋の考えだが、もともと仏教的な考え方に近いものがあり、そうであるからこそ実は日本人には馴染みやすい考え方とも言える。

仏教には「犀の角のようにただ一人進め」という言葉がある。

これは簡単に言えば、解脱に至るために、志をともにできない人がいるとしたら、無理に一緒にいる必要がはないということで、原始仏教が所帯を持つことを禁止していることも、ここに関連すると思われる。

また、仏教ではこの世を「苦」と捉える傾向にあり、輪廻転生から悟りの世界に解脱することが究極の目標とされているので、この点でもアンチナタリズム的な思想と似ている(似ているだけで相違はあるが)

仏教関連について、詳しく知りたい方は以下をおすすめする。

私は無宗教で仏教徒ではないのだが、仏教は好きなので、そういった点でもアンチナタリズムに関してはなんとなく親近感があった。

映画「ライフ・イットセルフ 未来に続く物語」について

これはDan Fogelman監督作品で2018年公開と最近の映画である。

アメリカとスペインの2つを舞台とした2つの家族の物語がある事故をきっかけに交わり合うというのがあらすじだ。

映画の詳細についてはここでは言及しないので、映画それ自体をレンタルするか、購入して是非見て欲しい。

最初は、なんだか変な映画に思えるかもしれないが、見終わったあとは感動につつまれます(後悔させません)。

この映画で私が受け取った大きなテーマとしては「命のつながり」だ。

たとえ、自分の人生が不幸で「これなら生まれてこなければよかった」と思わせるような人生であっても、自分の子供はそれを覆すことができるかもしれないという可能性を秘めているのだ。

そして、その命の連鎖は未来永劫続いていく、もちろん、私たちが子供を産み続ける限り。

この世が「苦」と定義づける要素に満ちているとしても、それを少しでも良いものにしようとしている先祖の記憶と歴史が私たちの体内やDNAには刻まれていて、その血と涙の結晶が私たちなのかもしれない。

ライフイットセルフの副題(日本語版のみ)に「未来に続く物語」とあるが、まさにこの映画はそのことを言っている。

もちろん、その物語が結局はバッドエンドに終わる可能性もあるが、だからと言って現時点で判断のつかないことに関して、アンチナタリスト個人の考えで終わらせてしまうのは本当に「良い」と言えるのだろうか。

まとめ

哲学のテーマとして取り上げられるものに関しては、決着がつかないものが多く、このアンチナタリズムの問題に関しても、明確な答えはないといってもいいだろう。

究極的にどちらとも捉えられてしまうものでもあるが、もし、あなたがアンチナタリズムに囚われてしまいながら、本当にそのようなニヒルな考え方でいいのかと疑問に思っていたならば、是非映画「ライフ・イットセルフ 未来に続く物語」を見てみて欲しい。

About The Author

Jokie03
ノマドサーファーとして世界中放浪しながら波乗りしている30歳です。
仕事としては翻訳中心に/WEB制作/SEOマーケター/動画制作/物販など幅広く
主に日々思うことなどつづるブログとして作りました。
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